何処に行っても改善できなかった時の新しい整骨院です
麻布十番店・みずほ台店時代の記録を掲載。院長治療およびSCM(SaitoClinicalMassage)は現在のからだのソムリエコースとなっています。
顔面神経麻痺
顔面神経麻痺を引き起こす原因とは?
顔面神経麻痺とは顔面神経の支配をうけている表情筋の麻痺を意味します。ヘルペスウイルスによっての麻痺、パソコン業務の激務から生じた麻痺、海外出張が多く時差による睡眠不足やストレスから生じた麻痺など、少しづつ原因が異なってきます。表情筋は脳の運動領の中でも多くの領域を占めています。そして表情筋は笑う・泣く・怒るなどの感情を表す時に使う筋肉なので脳の心の領域とも直結しているためにストレスと大変関係深い筋肉なのです。その為に顔面神経麻痺の原因としてストレスが一番に考えられます。
開口と表情筋・咀嚼筋の関係
顔面神経麻痺を発症すると口唇が片方に引っ張られる状態を引き起こす事が多く見られます。真っ直ぐに口を開けようとしても開けられなくなり、口唇が曲りズレてしまいます。この状態が長く続くと下顎骨までも正しく動かなくなってしまい、下顎骨を動かしている咀嚼筋がダメージを受けるようになります。
上の絵は本人の左顔面神経麻痺になった状態を示しています。多くの方が顔面の右半分が異常だと思われる方が多いのですが、麻痺ですのでシワが無い左顔面に問題があります。
右半分は正常で左が麻痺しているために、均等の張力ではなくなり右に引っ張られてしまった結果なのです。やじろ兵衛を思い出して下さい。左右均等の重りでバランスが保たれている状態から右の重りを重くしたようなものです。
右記のやじろ兵衛を参考にして想像してください。仮に左の重りを10kgから5kgに軽くすると右に傾きます。
左が顔面神経麻痺になるということは左側の筋肉の収縮が無くなるので、やじろ兵衛の左の重りが軽くなったことを意味するのです。
開口で使われる表情筋下記の図は左が表情筋を示し、右の図は咀嚼筋を示しています。特に左の表情筋に注目して頂くと口唇の周囲に多数の筋肉が集まっていること、そして口唇の動きと関係していることが確認できると思います。このように開口時における口唇のズレを修正することで表情筋のリハビリになるのではないか!と考えたのです。
正しい開口が顔面神経麻痺のリハビリになる
顔面神経麻痺になりますと顔面神経が支配する表情筋が動き難くなります。通常麻痺を起している筋肉に対してリハビリする場合は動かない筋肉を他者が動かして改善していきます。私は動かない表情筋のリハビリとして、表情筋の動きと関連している咀嚼筋に注目しました。
具体的に説明しますと、正しく開口するというトレーニングによって麻痺している表情筋に刺激を与える方法を考案したのです。開口は三叉神経の支配を受ける咀嚼筋が主体として動きます。そして三叉神経の支配を受けているということは動く筋肉である事を意味します。ですから咀嚼筋の動きを使って開口時に関連している表情筋に影響・刺激を与えるのです。「顔面神経麻痺による表情筋を咀嚼筋によって動かす」という考え方です。
整形外科と口腔外科の診療範囲このように説明すると多くの方が納得されますが、医療関係者の方で斎藤治療院の考えた開口調整を顔面神経麻痺の改善に使われている先生方はいらっしゃいません。その理由は表情筋を含め顔面神経関係の問題を扱う医院は整形外科となります。しかし咀嚼筋の問題は口腔外科となります。ですから顔面神経麻痺で治療を受けようとすると整形外科に行きます。しかし顎関節症を併発していても表情筋が対象となっているので咀嚼筋にまでは診療範囲が届かないのです。その逆に顎関節症で口腔外科を訪れても表情筋の問題は範囲外なので、顔面神経麻痺を理解して頂ける歯科医師の方が少ないのです。
顔面マッサージの方法からだのソムリエ著者斎藤匡寿の新人時代、1980年頃にエステティックの学校に通ったことがあります。超一流のエステシャンによる顔面マッサージは素晴らしく首や肩の筋肉までもが緩んだ体験を今でも覚えています。エステの顔面マッサージはクリームを使用した施術でした。その刺激は柔らかく気持ち良い刺激でしたが、今まで受けた様々なマッサージなどの手技療法よりも効果がありました。私はクリームやオイルを使用せずに顔面マッサージで効果を上げる方法を考え始めました。解剖書を使って表情筋を再度勉強しなおしたのですが、顔面部の筋肉マッサージは難しく一度はあきらめました。しかし噛み合わせ理論を知り、側頭筋マッサージを考案した頃に再度顔面マッサージの手技を構築しようと考えたのです。
咀嚼筋のマッサージもそうなのですが表情筋マッサージは更に弱い刺激でないと効果が出ないことに気が付いたのです。その為に指先の感覚を敏感にして、筋肉の“コリ”を巧みに感知し弱圧での顔面マッサージで効果をだすことに成功したのです。しかし正しい開口を続けると、弱い刺激でないと受け付けなかった表情筋も、強い圧でも受け付けるようになります。
マッサージは他力運動法と呼ばれることがあります。「他の力によって運動をさせてもらっている」という意味です。通常の運動は自力運動法と呼びます。「自分の力で運動している」という意味です。筋肉の改善にはマッサージだけでも運動法だけでも効果を最大にすることは難しいものです。マッサージに自力運動法を加味することで筋肉は別の表情を見せるのです。
顔面神経麻痺の治療法
新しい整骨院では斎藤治療院時代での顎関節症の治療で培った技術とエステティック時代のオイルマッサージを筋肉マッサージに変えて顔面神経麻痺の改善をしています。咀嚼筋も表情筋もストレスと大変関係があります。Topページや斎藤治療院の特長でも紹介しましたようにストレスと“コリ”は大変関係が深く、マッサージ整体によって全身の調整から“コリ”を改善する方法を取っています。そのため顔面神経麻痺の施術法も顎関節症と同じく全身調整から部位マッサージを施しています。
この方法により潜在的な筋肉の緊張が緩みますので自力の修復作用が高まります。当初は顔面マッサージのみの施術をしておりましたが、現在は顔面マッサージのみでの改善はしておりません。その方がはるかに効率よく顔面神経麻痺の症状を改善できるからです。下記には過去の記録と最近の記録を公表しています。
顔面神経麻痺の実績斎藤治療院時代に発見したのが、顎関節症を発症されていたので自然と正しい開口練習が必要となり、今日の顔面神経麻痺の治療体系の基礎となりました。また当時は顔面マッサージが主体で、この症例から全身マッサージの必要性を感じ始めました。
過去の施術例
昭和55年生まれ/システムエンジニア/男性
▶症状
一年半前から開口時にクリック音が生じる。最初はクリック音の改善を希望として来院されるが、顎関節の治療をするうちに、顔面神経麻痺という症状を報告される。顔の右半分が麻痺しており、とくに頬骨部、鼻翼部の動きが非常に悪い。つねに重さがある。口角が動かない。そのような症状から大頬骨筋、小頬骨筋などの小頬骨筋群の違和感、さらに上唇鼻翼挙筋なども問題があるようで、右眼窩下部においても凝りのような重さを感じている。またこめかみ、側頭筋、咀嚼筋、咬筋にも大きな張りがある。右半分が重苦しいという症状が本来の症状として確認された。
▶治療法
9月14日
顎関節を左右にずらす癖があり、開口時クリック音がする。右顎関節が何か重苦しく開けにくい。首を左側屈、右捻転がやりにくい。一般治療によって開口が少し楽になる。
9月17日
開口は楽になっていた。口を外側に引くことと、目の瞬きに違和感を感じる。顎関節症はだいぶよくなったが顔面の違和感を訴え顔面神経麻痺であることを初めて吐露する。
9月19日
右目を開けているのが辛い。右目が重たい。口元は右へ引くときに違和感が出る。右目を強く閉じようとしても60%くらいしか閉じない。口元左右に引く、右のみが動き左はほぼ動かない。顔面神経麻痺の症状が出ている。目の重さ、口元の重さが顔面マッサージで半分近く減る。パソコン疲れとは関係ないと報告を受ける。朝方は調子がよい。しかし、夕方、夜になると辛くなる。このときはパソコンと関係ないということであったが、辛くなる過程を見るかぎり仕事のしすぎと漫画の読みすぎに原因があると思われる。
9月23日
この日から顔面マッサージのみの治療とする。治療時間40分のところ30分という形で顔面マッサージをする。
10月1日
30分の顔面マッサージをする。右首の痛みは左口内炎で右噛みを多くしたせいによることが考えられる。
10月8日
顔の張り、とくに唇の上、頬、側頭部、眼瞼、顎二腹筋などのマッサージによって顔の張りが減ってくる。
10月15日
30分で顔面マッサージをしたものを、馴れてきたので40分治療に戻す。次回、どのように変化するかを調べる。
10月22日
40分の顔面マッサージをする。口唇まわりが動くようになる。今までマクラを使用しなかったことからくる首の張り、横向きでの首の張りをマクラを使用することで減らす。右側の顎関節周囲の違和感をマッサージでとる。顔面神経麻痺の症状と顎関節症の症状が代わる代わる出る。口角を外側に引っ張る、口角を開けることが楽になる。
10月29日
目を上に向ける動作をすることによって顔面が痛くなっていたが、それがとれてきたと報告を受ける。目の周囲も楽になる。口角を横に、そして上げることが楽になる。その結果、開口が楽になる。口角挙上筋が楽になる。
11月5日
目の周囲の重さは残るが、それでも前にまして楽になる。顎のまわりはまだ麻痺したような感覚が残っている。
11月12日
大小頬骨筋マッサージを施す。口角挙上筋が楽になる。さらに頬を上げる練習を施す。
11月19日
口角を上に上げる練習をする。全体的に楽になっている。
11月26日
表情筋を動かしてもらい重い部位を報告してもらう事を止め、楽な状態のままで顔のマッサージを施す。目を上に向ける練習を開始する。顔面の痛みがなくなり、順調なので目を上に向ける練習を開始する。顔面神経麻痺の症状が軽減されてきた。
12月22日
症状が楽になったので、一カ月近く来院されなかった。そのため首が痛く、上を向くと右顎関節が痛くなってしまっていた。右咬筋の硬結が再発し、顎関節緩和法を指導する。少し口を開けたままその状態でゆるめる方法をとる。
翌年1月14日
開口しにくくなってしまった。そのため再度、30分の顔面マッサージをする。開口がしやすくなる。やはり顎関節症の治療を優先し開口調整から顔面神経麻痺の症状を軽減することに努める。
1月21日
本日は身体全体がほぐれやすく、顔面神経麻痺の症状も改善されやすい。本日は表情筋の健側側にもマッサージを施す。
2月4日
頬骨下縁マッサージによってひじょうに楽になる。ついで咬筋マッサージ、側頭筋など咀嚼筋をマッサージすることによって開口が非常に広がり、楽になる。やはり開口が楽になると顔面神経麻痺も良くなっている。
2月11日
頭のマッサージを長く施し、前頭部、眉毛の付近の硬結をマッサージする。また鼻涙管マッサージなど顔面の目、眉、側頭筋などに重点をおいたマッサージによって非常に楽になる。
2月16日
頬骨丘付近が重たい。乳様突起マッサージで楽になる。
3月1日
土・日もなく働いたので右首が張っている。乳様突起マッサージで首の辛さもとれる。このときは、顔面マッサージのみでなく、座位マッサージで上半身を施す。その結果非常に楽になる。顔面神経麻痺が顔面だけでなく身体全体の疲れからも影響を受けることを実感する。
3月4日
顔面の違和感がだいぶ楽になり、しかし首の辛さがあるので座位の首のマッサージをほどこす。雄牛のポーズも両側可能となり、背中のバランスもとれてきた。
3月18日
首の痛みが出ている。前回と同じように胸鎖乳突筋マッサージによって楽になる。胸鎖乳突筋は咀嚼とも関係ある筋肉なので食事をゆっくり取るように指導した。また頬骨のあたりのマッサージによって顔面も楽になる。
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3月27日
首および顎の開口に違和感があったので胸鎖乳突筋マッサージと顔面マッサージをていねいに施す。
4月3日
顎関節の違和感が感じられる。顎ストレッチをしたあと顔面マッサージによって硬くなった部分を取り除き、側頭部マッサージでさらに楽になる。顔面神経麻痺の症状は顎関節症を引き起こし、さらに顎関節症を改善しないと顔面神経麻痺も改善されないことを確信した。
4月7日
また顎関節に違和感が起きる。顎ストレッチで楽になったが、下顎骨の下角あたり、咬筋の付着部マッサージで楽になる。仕事、漫画など目を休んでいる時間が少ないことを指摘する。しかし、その生活習慣を改善するつもりはないようであった。
4月12日
右の顎二腹筋マッサージによって硬結をとり開口も楽になる。顎、首、顔の違和感がとれる。
4月19日
胸鎖乳突筋の硬結を発見、マッサージにより顎関節が楽になる。右三叉神経の中枝、頬骨付近にゴム状の硬結を発見、マッサージにつとめる。
4月26日
顎関節の具合は良好となる。口唇の上に違和感、側頭筋の凝りはあるがマッサージによって気にならなくなる。
4月29日
右胸鎖乳突筋の硬結がやわらぎ、開口が楽になっている。頬骨周辺マッサージを中心に施す。
5月27日
首が凝っている。前腕後側の凝りが目立つ。指を動かしているせいであろう。顎関節および咬筋マッサージによって開口が楽になり、顔面の違和感も取れる。顔面神経麻痺の改善と腕の疲れが関係していることが、このような体験から分かってくる。
7月8日
非常に期間があく。体全体が疲れ牡牛のポーズの右後手が難しくなってしまった。左の股関節をマッサージする。それで体全体が楽になる。長い間座っていたせいか肩関節・股関節ともに負担がかかったことが原因と思われる。身体全体の調整からの顔面神経麻痺の治療の必要性を感じた。
7月22日
耳の後に凝りを感じ、耳の後の胸鎖乳突筋マッサージで楽になる。
7月29日
久しぶりに顎関節に違和感を感じたという事で、側頭筋を中心のマッサージでとる。
8月5日
側頭筋が辛い。マッサージ後、楽になったが顔面の凝りも強く出ていた。顔面マッサージ、胸鎖乳突筋マッサージでとれる。
8月11日
顔面マッサージを中心に施す。かなり楽になる。寝方が右方向の可能性が強いことが報告される。
8月17日
首が痛いということで来院。全身マッサージ、その後、顔面マッサージ、胸鎖乳突筋マッサージで楽になる。中心施術を胸鎖乳突筋として施した。身体のマッサージ整体が必要である。顔面マッサージだけでは根本療法とは成り得ない。
8月24日
顔面マッサージ、座位マッサージによって背中や首、肩をほどこすと非常に楽になり、大変喜ばれる。
9月9日
首が重たいということで来院。左の胸鎖乳突筋の凝りが強い。マッサージ後、右乳様突起部の重さを感じる。しかし咬筋、頬骨下縁マッサージで楽になる。右三叉神経、眉の付近に重さを感じる。前頭筋のマッサージでこの部分はとれる。ずいぶんよくなっているが顎関節周囲に張りがあるということでマッサージをし改善される。この時も全身マッサージによる身体調整からの部位マッサージで効果を出した。
10月14日
右側の咬筋の重たさを感じている。しかし、上向きの背中のマッサージと座位の胸鎖乳突筋マッサージでほぼ痛みがとれる。ただ左の胸鎖乳突筋に強い張りを発見する。
10月21日
右顎関節痛。牡牛のポーズ後、減少し、右顎二腹筋マッサージで開口時の痛みはとれる。
10月25日
全体的のマッサージをする。右喉に硬結があり、足の外旋位をしていることを注意し、なおしてもらう。顔面の違和感も頬骨丘付近のマッサージでとれる。
10月28日
右咬筋、顎二腹筋の凝りが多い。午前1時から4時までパソコンを使用したせいか表情筋が凝っていた。しかし。頬骨付近のマッサージで改善される。
11月4日
前回、頬骨付近に硬結を発見し、そこにマッサージを施すと楽になった。
11月11日
顔面神経麻痺がほとんど気にならなくなり、全体のバランスをとることに集中する。
11月23日
頭頂部、左足の凝りが目立つ。本人は首の辛さといっているが、頭頂部と左腰のマッサージをすることによって十分ほぐれてくる。腰の部分の張りをとるためにうつ伏せにおいて中臀筋、ふくらはぎマッサージを施した。
12月16日
首がつらいというので胸鎖乳突筋の凝り、前回の中殿筋、ふくらはぎの硬結をとるマッサージを施した。顔面神経麻痺の辛さはほとんどなくなる。
12月23日
全体的に良好。左背中、腰、顔面と関係ない部分の凝り、つまり仕事の疲れをほぐすのみにおいて終始し、今日で終了する。
▶参考文献
テンプレート療法・Quadrant Theoremを基本として 前原 潔著
“TMD” Jeffrey Okeson 著 医歯薬出版株式会社
南江堂 ネッター解剖学アトラス Frank H.Netter,M.D
分光堂 解剖学アトラス
からだのソムリエ 本の泉社 斎藤匡寿著
ソムリエコース 実績・他の施術












